a-ha, VolkswagenのCMに出演

a-haが、アコースティックバージョンの『Take On Me』をBGMに、VolkswagenのCMに出演しています。

youtubeの概要欄にもあるように、これまで見たことのないプライベート写真も見られるほか、バンドのことについて、メンバーが語っているという非常に興味深いCMになっています。昨年、『The Making of “Take On Me”』がyoutubeで放映され、『Take On Me』について、バンドや周辺人物が語っていましたが、それに勝るとも劣らない内容だと思います。

電気自動車とKristiansandとモートン

Kristiansandとモートン

今回のドライブは、Kristiansandでモートンが運転するところから始まっています。これは、モートンファンにとっては嬉しいことで、Kristiansandは、モートンが子供時代、夏の休暇を過ごした場所だったようです。80年代の雑誌で、「Krisitansandで子供時代を過ごした」と読んだ記憶があったのですが、Twitterで教えていただいた情報によると、最近出たa-ha本『Down to the tracks』で、「モートンが子供時代、別荘がKristiansandにあった」と出ているそうです。『Hjemkomst』では、モートンが子供時代、夏休みを「”ノルウェーのバイブルベルト”にある別荘で過ごしていた」とあり、Kristiansandはまさにその”ノルウェーのバイブルベルト”にある土地なのです。

あわせて考えると、子供時代に夏休みに過ごした別荘=Kristiansandということになると思います。

電気自動車とa-ha

そして、電気自動車といえば、モートン・ハルケットでしょう。1989年に、環境保護団体ベローナを通して電気自動車を購入したのが、モートンとマグス。Car Magazine2010年10月号によると、2010年6月には、この撮影場所でもあるKrisitansandで行われたモータースポーツ用の電気自動車の試乗会にマグスが招待されていたそう。(カーマガでのインタビューの様子

はじめての電気自動車購入以来、モートンは電気自動車のお披露目会には頻繁に出没しています。何年か前にはテスラの電気自動車お披露目会にも出没していました。ちなみにこれは、1989年。最初の電気自動車のお披露目会の様子。

そんなわけで、電気自動車の記事といえばモートンの名前が出てくる始末。(検索するたびにまた電気自動車の記事か…と思うこと数知れず)。モートンの名前で検索して出てくる本人があまり関係ない記事のベスト3があるとしたら、「子供の頃のヒーロー」「電気自動車」「ビットコインでモートンが成功したというのは、モートンの名前を勝手に使った詐欺」という記事の3つになるでしょう。本当に多いんです。

Kristiansandと電気自動車の関係は残念ながら不明ですが、電気自動車とKrisitansandが、モートンを通じて繋がってるように個人的には感じました。

Volkswagenとa-ha

2001年のヴァルホールでのコンサートのスポンサーがVolkswagenだった気がしないでもないのですが、確証は得られませんでした。(覚えてる人いたら教えてください。自動車メーカーだった覚えだけあるのです)

それとは別に、Volkswagenは『Take On Me』でCMも作っています。

a-haはドイツのユニバーサルミュージックと契約しているので、ドイツのメーカーであるVolkswagenが『Take On Me』を使うのは自然なことかもしれませんが、それでも、こういうCMがあるのは嬉しい限りです。今回のビデオといい、a-haとつながりが深いのかもしれません。

なぜ、Kristiansandから始まるのか考えてみた

さて、そんな感じで、Kristiansand・電気自動車・Volkswagenと三拍子揃った今回のビデオですが、冒頭にも書いたように、Krisitiansandから始まるというのが、個人的にはとてもツボでした。しかも、モートンが一人で運転し始めるというところが。

移動ルートを考える・どこへ向かっているのか

Kristiansandは、先ほども書いたように、バイブルベルトにある土地で、キリスト教の伝統が根付いている町。そして位置はこの辺。

動画では、スタートはわかっても、最後の場所がVolkswagen社であること以外わかりません。検索したところ、Volkswagenのノルウェー本社はオスロにあるようです。地図と動画から推察するに、このビデオは最南端近くのKristiansandから、Nærsnesを通って、オスロにあるノルウェーのVolkswagen本社に移動したのではないかと推察したのですが、残念ながら最後のシーンをみると、周りの景色が違うんですよね。

ちなみに、Nærsnesはこの辺。

なぜ、Nærsnesを通ったと推察したかというと、動画の比較的終わりのほうでポールとマグスが”同じ場所から”同乗するからです。加えてBGMが『Take On Me』であることを考えると、Nærsnesは重要な拠点です。外すわけがないというのが個人的な見解です。地図をみるとNærsnesは、Kristiansandからオスロに移動する距離の中では、オスロにかなり近い場所であることから、もし、最終地点がオスロのVolkswagen社なら、動画の中でも距離感を出したのではないかと思ったのです。

とはいえ、GoogleMapでのストリートビューをみると、最後の場面での特徴的な家々は周りにはないようなので、実際は違う可能性大です。

なぜ敢えてKristiansandなのか

『Take On Me』から自分たちの旅が始まったというのなら、ワークター家の別荘であり、モートンが『Take On Me』を初めて聞かされたNærsnesでもよかったわけです。

あくまで推測ですが、伝統的文化が根付いていること・モートンと結びつきが強いこと・周りの景色がとても美しいことで選ばれたのではないかと思いました。

伝統的な文化が根付いてる場所から未来に向かって、電気自動車という比較的新しい技術でノルウェーの森や海を守りながら、昔の車がもたらしたような家族旅行を今も変わらず提供しますよという、メッセージを出したかったのではないかと。

そして、もうひとつは、Nærsnesから始めた場合、これまで散々繰り返されてきたパターンを踏襲することになりますが、Kristiansandから始めることで、モートンから見た二人という新たなパターンにしたかったのではないかと。まあ、単純にモートンが一番演技慣れしてるからという話もあるかもしれませんが…。

それぞれの言葉に思うこと

そんな感じでKristiansandから始まることに思いを馳せつつ…、改めて動画の内容について思うところを。

冒頭にも述べたように、今回の動画は、a-haのメンバーの思いが知れたという意味で、『Making of “Take On Me”』に匹敵する名作だと思います。

ポールの曲作りへの思い、マグスの音楽との関わり方、そしてモートンの思う、a-haの中での自分の役割。ポールやマグスの曲があって、モートンの信じる力があって、そして、マグスはモートンの声を「ポールと僕の作った曲がメインストリームに乗ったのは、モートンの声によるところが大きい」という。マグスは、モートンの声について、これまでも何度もインタビューで発言してきていますが、まさか、『”Take On Me”と三人の成り立ち、そしてこれから』とも言える動画の中で、モートンの声をメインにした話をするとは思いませんでした。個人的にはとても嬉しかったです。Lindmoのマグスの回でも思いましたが、マグスはモートンの声と、自分の作る曲・ポールの作る曲との化学反応が好きなんでしょうね。

最後の『We are nature』というフレーズも、モートンが言うと本当にしっくり来ました。動画冒頭のKristiansandの森のシーンでも思いましたけど、モートンって森に住んでいる妖精のような(痛いファンでスミマセン)感じなので、―勿論この言葉が、この動画のテーマである”Reinvention”であることを受けているのは明らかですが―、すごくしっくりきました。人も音楽も全てが”自然”の一部だというフレーズがこんなに似合う人は他にいないのではないでしょうか。

それと、偶然かもしれませんが、この動画、どこか『Foot Of The Mountain』のPVを想像するんですよね。あのときは、モートンは一人で運転していて、マグスとポールが同じ車で、運転しているモートンにマグスが「大丈夫?」と聞いているシーンがありました。あのときは、モートンは二人をスルーして、一人でどこか行ってしまいましたが、今回は二人を乗せて運転しているのです。Reinventは「存在を蘇らせる」という意味があるそうですが、『Foot Of The Mountain』時には思い描けなかった”復活”を超えての今があるんですよね。(しみじみ)

最後に。こちらのVolkswagenのサイトには、今回の撮影の写真が沢山掲載されています。https://www.volkswagen-nutzfahrzeuge.de/de/alles-ueber-volkswagen-nutzfahrzeuge/van-journal/ikonen-unterwegs.html

おまけ:CMつながりで、モートンとCMといえば、これもあったよね、ということで張っておきます。テレビCMでモートンの姿を見られて声が聞ける日常って羨ましい。(今回のVolkswagenのCMがドイツ等で流れているかどうかは知らないけど)

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

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