『The Making of Take On Me Episode2』感想

『The Making of Take On Me Episode 2』が、昨日の23:30、公開されました。

今回の自分にとっての見所は3つ。

  • パターソン氏との出会いと、彼が初めて描いたモートン絵
  • Train Of Thoughtと『Take On Me』の元ネタ
  • バンティとのやりとり

「当時の美大生」、パターソン氏初登場と「Train Of Thought」

『Take On Me』の元ネタが、当時の美大生の作ったアニメーションフィルムなことは、なんどか雑誌などで語られていましたが、今回、その元美大生が出ているのが新鮮でした。

5年前。2014年に渋谷Bunkamura25周年特別企画として行われた、『だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵』には『Take On Me』が展示されていましたが、その図版から抜粋すると

シカゴ出身のアメリカ人アニメーターのマイケル・パターソン(1957~)によるロトスコープと実写を合成(以下略)
(図版『Visual Deception II Into the Future』より)

パターソンは美大生時代1981年に本作を彷彿させる『通勤者』(Commuter)というアニメを制作しており、これがレコード会社の関係者の目に留まり本作に関わるきっかけになった。『通勤者』と「テイク・オン・ミー」のミュージックビデオはともにニューヨーク近代美術館にも所蔵されている。
(図版『Visual Deception II Into the Future』より)

図版でいうところの、”レコード会社の関係者の目に留まり”の関係者こそ、John BeugとJeff Ayeroffだったんですね。なるほど。

それにしても、パターソン氏の若さに驚き。図版見たら1957年生まれって…モートンより二つ上ですよ。モートンより更に若く見える。なんならマグネより若く見えます。そして、もう一つ。この元ネタとなった『通勤者』のイメージって『Train Of Thought』の中のアニメーションそっくり。恐らく、一部同じ映像を使ってますよね。その辺の裏話もぜひ聞きたいと思いました。

パターソン氏が最初に描いたモートンのイラスト…。ホント、このイラストこそ、自分にとってはモートンを知るきっかけであり、ある意味、神絵師…。絵を描いてるときの若かりし頃のパターソン氏の後ろ姿がモートン(特に『Take On Me』で彼女を迎えにくるときの服装)と似ているのはちょっと面白いなと思いました。

余談ですが、少し前、Twitterで「二次元好きな夢女(アニメやゲームの主人公と疑似恋愛したいタイプ)にはたまらないビデオ」として『Take On Me』が紹介されてました。確かに。私はこのウインクする漫画モートンと、ガラスの割れるシーン、そして最後の迎えに来るシーンで二次・三次両方もモートンが好きになり、同時にこの声もだいすきになったのでした。まさに、「アニメを使おう」と決めた John BeugとJeff Ayeroff の策略にまんまとはまったという感じですね。

今回のビデオはJust Loomisも出ていて、「初めて顔みたー」という驚きはありましたが、個人的にはこのパターソンの話と、もう一つ、バンティとのやりとりが最高でした

34年の時を経て、隣の席に座るのに成功

このモートンの甘い笑顔と嬉しそうな両者の雰囲気がたまりませんね。「また君に会えてとっても嬉しいよ」「私も」って。モートン、一瞬で『Take On Me』の頃のモートンの表情になってるし。

「もし、テーブルで隣の席に座るのが目的だったとしたら、34年かけてようやく成功したってことだね」っていうの、見ているこちらが嬉しくなりました。『The Sun Always Shines On TV』でモートンが消えてしまうのに納得いかなかったので。
消えたモートンが、34年の時を経て、初めて会ったカフェに現れる。

アニメーターの人が「これ(『Take On Me』)は、お伽噺。”眠れる森の美女”や”シンデレラ”のような」と言っていましたが、「眠れる森の美女」はよくいったもので、たしかに体を打ち付けながら「3次元」に現れるモートンは、良い魔法使いによって姫を守るために張り巡らされた蔦を愛の力で切り裂いて助けにいく王子ですね。ただ、もう一度言ってしまうと『The Sun Always Shines On TV』の冒頭が蛇足なんですよ。そもそも、『Take On Me』のときに、a-haのマガジンで終わらせていたのに、なぜテレビシリーズにして余計なものを付け加えるのか。当時、かなりがっかりしました。

それが今回、この企画で二人が再会したこと、そして「34年かけて」のモートンの言葉で、再び「ハッピーエンド」の物語になったのが嬉しいです。モートンがそれを意識して発言したかどうかはともかくとして。

ありがとう。モートン。モートンのこういうところ、ホント好き。

そういえば、このビデオにイギリスの議員の人が出てきましたが、大分前ですよね、彼がモートンやマグネと写真撮ってたの。その時から、この『The Making of Take On Me』の話が出ていたんでしょうか。ちょっと気になりました

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

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