誰だってコミュニティからはじかれるのは嫌だよ

この記事は、VGの「Morten Harket: – Morrissey hadde store ereksjonsutfordringer i mitt nærvær 」で紹介されているVG+記事の翻訳です。
一部、元記事(VG)のほうが詳しく記述されているところは、合わせて入れています。

コミュニティからはじかれるのは、誰だって嫌だよ

モートン・ハルケット(52歳)のポップスターとしての
キャリアはもう27年にもなる。
しかし、有名人としての存在とくだらないおしゃべりにつきあうのは、愛かあらず苦手なようだ。

-相変わらず、ファンは君の家に来たりするのかい?
-うん、そうだね
-それで何か不愉快な思いをしたことはある?
-僕は、家族と生活しているごく普通の人間なんだよ
 こんな風に探されるなんて普通ありえないよね。
 もっとも人間関係のトラブルって、そういうものだけど。

-有名人の中には、ファンだって表明している人も多いよね。
 あのThe smithのモリッシーは、2004年のクオートフェスティバレンで”The sun aloways shines on TV”の出だしを歌った後、バンド紹介で「そして、僕がモートンです」と言っていたよ。

(参考:https://www.youtube.com/watch?v=O9M-4qpdE_Y&hd=1
(参考:クオートフェスティバレンは、1991年からノルウェーのクリスチャンサンドで行われる夏フェスで、6月末から7月上旬に行われます。2009年以降はクオート、と呼ばれているそうです。モリッシーは2004年に、ソロで参加しました)

―彼と僕は会ったことがあるんだ。彼は、僕の周りに強い影響力を持っていてね。
僕たちは1980年にニュー・オリンズで逢うチャンスがあってね。

-The Smithの全員と話した?それとも、モリッシーだけ?
-モリッシーだけかな。僕は、彼が、全てのことについて難しく考えているんだな、と思ったよ。僕は、彼が自分の同性愛的な側面について、問題なく宣言できるのではないかと思ったよ。

-彼は、自分がそう(同性愛者)だと表明したことはない?
-ないね。僕が何を言うべきかわからないけど。考えさせられるよ。

-君は随分と早くソロ活動に戻ったけど、休んでも十分食べていけるよね。
 なぜ、まだ音楽活動を続けるのかな。
-そうしたいからだよ!やってないことがいっぱいあるし、僕の中にある「音楽」は、まだ終わりがないんだ
-まだ有名人でありたいと思いますか?
-そうだね。でも、それは与えられるものの一つの側面でしかない。
何かするときに顔を知られているってことは、それだけで、色々なものを繋いでスムーズに出来ることもあるけど、人類愛や政治的な点でいうと、それまでとは全く違う意味を持つようになる。誰しもコミュニティからはじき出されるのは、心地良いものではないよ。
有名になるってことは、コミュニティからはじかれるってことだ。
有名になった途端、他のみんなとは違った存在になるんだ。
これは、相手が君を好きかどうかとは関係なく起こることなんだよ。
(有名になることで)「物」になるんだ、そして、コミュニティからは押し出されることになる。おかしなことだけれど、君は他人からは「見知らぬ人」になり、他のみんなは君にとって「見知らぬ人」になるんだ

-親友といえる人はいない?
-いるよ。このメカニズムを理解し、彼らなりにどうしたらいいかを見つけてくれた人たちがね。彼らは我慢し、受け入れてくれたんだ。でも、有名人と近い関係にあるっということは、彼らもまた僕と同じような立場で生きるってことになるんだ。
それは骨の折れる立場だよ。「実体ではない」ものとして扱われると同時に、そのオブジェクト化した自分は綺麗な状態でなくちゃいけないんだ。
それが「人類愛」ではない受け入れ方なんだ。

-君が今まで一緒に暮らしてきた人たちも経験したことですか?
-みんなが経験することだよ。たとえば、飛行機で隣になることだってある。
Pettersenが11Bに座って、僕が奥の窓側に座る。
彼がだっこしている1歳半の娘が君に話しかけてくるかもしれないし、バランスを崩して、
顔にぶつかってきて君が読んでいた新聞を落とすかもしれない。
有名人がそこにいるってこと以上に重要なことはなくなるんだ。
有名人になると、それだけで、毎日が、一般の人たちの中にいることが「大変なこと」になるんだよ。

-それがいつ起きるか解らないし、どんな変な反応をしてしまうかもわからない。
うまくいく法則があったとしても、いつもうまくいくとは限らない。
他の人が知ってたほうがいい簡単な方法として、たとえ僕がそこにいたとしても、予約した場所は変えずに座っているのが一番だと思うよ

―有名人でいることは、退屈?

-退屈なだけではなく、同時にとても面白いことでもあるよ。
でも、それは「個人的なこと」じゃないからこそ、保っていられるんだ。
それ以上のことがあるからね。僕はそのことをよく知っているし、どう扱って良いかもあかってるんだ。僕と一緒に生きていく人は、子供達もふくめ、どう扱うか自分なりの方法を学ばなくちゃいけないんだ。

-君は内気になったり、特別なつきあい方をしたりするの?
-僕はね、無駄話はしたくないんだ。小さい声でずっと鳴いている犬は、僕は飼いたくないって気づいたんだ。勿論、僕は犬は好きだよ、だけど可愛くつきまとわれるのは、もう必要ないんだ。それは有名になってから1年の間に、さんざん経験したからね。
意味のないおしゃべりや、カフェでのおしゃべりも飽き飽きなんだ。
僕たちは話すこともあれば、いつも通り何も話さないこともある。
話すべき時に、僕は話す。でも、長い間、静寂の中で話をしなくても、それは僕にとっては、何ら問題のないことなんだ。

-父親としてのモートン・ハルケットはどんな感じ?
-僕が家にいるようになって、もう3年になるよ。一緒にいられることが、何よりの喜びなんだ。僕はアーティストとして、家を空けることも多いから、いつも一緒というわけにはいかないんだけど。だから出来るだけ家にいたいと思うし、一緒にいることが楽しみなんだ。いつも面倒をみているのは、Inezだから、僕は出来る限り彼女の真似をするようにしているよ。

-すっかり普通のパパですか?
-彼女を授かってからは、すっかり普通のパパだよ

-今は、世界を飛び回ってるのは何日くらいですか?
-その時々によるけれど、2010年はa-haとして沢山、まわったよ。
でも、僕はそれほど多くなくていいんだ。何回かやれば、それで十分さ。
Inezが家のこと全般を把握しているんだ。彼女がそう望んだんだよ。
彼女は以前は一年中仕事をしていたし、複数の仕事を掛け持ちもしていた。
僕たちは、彼女が家にいると決める前、2-3年ほど転換期をもうけたんだ。
そして、家にいることをメインにすることにしたんだ。
だけど、彼女は様々な分野に対して、とてもアクティブな人だから、成長するにつれて、家庭での役割も変わってきているよ。
暫定的ではあるけど、今の状態を彼女は気に入っているんだよ。
それに僕も、彼女が家にいるのが好きなんだ。
家で食事を作るのも好きだしね。僕にとってこれは、最高の特典なんだ。

-a-haの解散コンサートのあとは、どんな日々を過ごしてましたか?
-1月と2月は、ゆっくりと素敵な時間を過ごせたよ。3月にはもう一度動き始めたけどね。
 僕は、何かを待っていようとは思わないんだ。続けていくなら、思索にふける必要はないよ。ただ、やるべき準備をやるだけだ。機械は、温めていればシステムはきちんと動く。
僕は、自分がただダラダラと働く状態になるのは嫌なんだ。

-ポールやマグスとは連絡とりあってる?
-いつも通り、全然連絡しないよ。なんてね。僕たちはお互いに自然に連絡をとりあってるんだ。マグスがやってることを言うと……
僕たちはお互いに手紙を書いたりはしないんだ。マグスは大量にメールを書いてくるんだけど、僕は返事をしたことはないんだよ。
僕とポールはくだらないおしゃべりはしないんだ。大人だからさ。

-それでも、あの二人はあなたにとって人生の大きな部分を占めているんですよね?
-うん、僕たちには切れることのない絆があるんだ。僕たち3人はみな、忍耐強いし
僕たちは互いに尊重し合っているんだ。a-haは特別な形だし、誰も僕たちから奪うことはできないし、a-haは続いていくんだ。

-ポールは沢山の曲を書いて、君それを古典にしました。ソロアーティストとしても、彼の曲を歌っていきますか?
-そうするつもりだよ。それに、マグスの曲もね。

-曲に名声は関係ない?
-ないよ。それは、どの曲を選ぶかにかかってくる。作曲家としての結果が、歌手としてもより興味深い結果に繋がることは勿論あるよ。
ただ、それは滅多に起きることではない。
僕は他の人に対して曲をかくほうが、自分に対してよりうまくかけるかもしれない。
それは曲を選ぶ時も同じ………誰が曲を作ったかは関係ないな。

-a-haのファイナルツアーでは、あなたはマグスとは話していたけど、曲の合間に自分で話すことはありませんでした。ソロツアーではどうするつもりですか?
-僕はライブの間、マグスとはちゃんと通じ合っていたよ。その上で、彼は直接、ファンたちと話したんだ。

-なんで、あなたは曲の合間に何も話さなかったんですか?
-君はa-haのコンサートにいたんだよね?僕は一晩中、吠えてたんだよ、それで充分だろ、いや、とにかく、僕はa-haのコンサートでは自分自身を前面に出したくないんだ。
a-haとしての僕は、ポールでもマグスでも自分自身の代表でもないからね。
自分のコンサートとなったら話は別だよ。もっといっぱい話すことになるだろう。
話すか、話さないか。僕にとって、「真ん中くらい」は無理なんだ。

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

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