True North:ポール、インタビューでアルバムレコーディングと北ノルウェーとの関わりについて語る

True Northのレコーディングと収録が終わったようで、TV2のマグネのインタビューを訳していたんですが、アルバムについて少し詳しい情報とモートンに言及しているポールのインタビューが入ってきたので先にこちらから。元ネタはこちら

ポール・ワークター=サヴォイ とてもエキサイティングだったよ

a-haは新しいやり方で新譜を作りたかった。そしてそれは、ボードーの Svømmehallen Scene (スイミングホールアリーナ)でのArktisk フィルハーモニーと一緒にやるという形になった。「良いオーケストラと一緒に仕事するのは楽しいよ」(ポール・ワークター=サヴォイ)

文章と写真: Lasse Jangås

ワークター=サヴォイがノルウェーで最も偉大な作曲家であることを、国際的なヒットの数々…Hunting High and Low The Sun Always Shines on TV, Summer Moved On, I´ve Been Losing You, Train of Thought, Velvet と James Bondの曲The Living Daylightsで示していることは非常に多くの人が共感することだろう。加えて、いくつかの曲はMagne Furuholmenと共に作っている(Take On Me, Cry Wolfなど沢山)

«フィンマルク人» Waaktaar-Savoy

https://www.instagram.com/p/CV6MRhnMBSf/

a-haが最後の曲を出してから既に6年が経っているが、今週、バンドはボードーで次のアルバムTrue Northの曲を演奏していた。

ボードーではアルバムのレコーディングと同時に北ノルウェーの自然を大量に撮影した。

Paul Waaktaar-Savoy. Foto: Lasse Jangås

アルバムの曲の半分はマグネ・フルホルメンが、残りの半分はポール・ワークター=サヴォイが書いているが、二人とも北ノルウェーとは強いつながりがある。フルホルメンはLofotenに不動産を持っているし、ワークター=サヴォイの両親は彼が産まれる前にフィンマルクからオスロに移住しているのだ。

–うん、その通りだ。彼らは北から来たんだ、俺は休暇のたびにフィンマルクのLoppaにあるSandlandで楽しくすごしていたのを覚えてるよ。

– 子供の頃は何度もフォード・コーティナに乗って3日間のフィンマルクへの旅をしたよ。そして俺はそれがいつもとても誇らしかったんだ。

更に、”Waaktaar”という名前はトロムスに由来している。

–Kvæfjord(*1)のVoktor gård(ボクトール農場)から来てるんだよ
と、彼は笑った。

ロサンゼルスに住む

今、彼はロサンゼルスに住んでおり、様々なプロジェクトの為に曲を書いている。a-haのキャリアと並行して1994年に始め大成功に導いたSavoyだけにはとどまらない。

彼が作曲した数々の曲のうち、どの曲がa-haの曲になるかは終わってからわかる。そこで彼はどの曲がモートンの表現豊かな声にとってベストかを評価するのだ。

ーでも、モートンは読めない奴だからさ、俺はどの曲が彼にささるか全くわからないんだ。そこで俺は何度も失敗したよ
ポール・ワークター=サヴォイは微笑んで言った。

このアルバムの中の彼の曲は彼のUSAでの親友である、Joe Mardinがアレンジしている。彼(Joe Mardin)は、アレサ・フランクリンやジョージベンソン、ベット・ミドラーなどの高名なミュージシャンと仕事をしている。

フルホルメンの曲のアレンジは、今回のボードーでのレコーディングにもバンドと一緒に参加したKjetil Bjerkestrandが担当している。

何か全く新しいこと

ボードーで、彼らは全く新しい試みをしている。アルバム全ての曲を『Live』で、Arktiskフィルハーモニーの30人のミュージシャンによる小さなシンフォニーオーケストラとバンドで一緒に演奏するのだ。

ボードーにて:レコーディング中のモートン・ハルケット. 写真: Lasse Jangås

– 俺らはそれぞれがちょっと異なる歴史がある、3ヶ月間いつものスタジオでつつき合うより、アルバムを作るのに新しい方法を試したかったんだよ
と、ポールは言う。

– 最初のアイディアでは、いつものスタジオで全て撮影するつもりだったんだ。でも、このアイディアが浮上してから、ボードーでArtisk フィルハーモニーと一緒にやることにしたんだ。これはとてもエキサイティングだ。いいオーケストラと一緒に仕事ができるのはいつだって楽しいね。全く違った彩りを音楽に与えてくれる。

– あなたたちは、滞在中、どこか見に行きましたか。

– 俺らはここボードーに何度も旅行しているよ。俺たちはこの近辺の喫茶店は全て訪問済みだよ
彼は笑顔で言った

– あなたたちは、平和な関係になったのでしょうか。

– うん、俺たちは結構はやくに外に出てるから、その時間にはまだ喫茶店にはそんなに多くの人はいないんだ。俺たちはあちこちで人なつっこく挨拶されたよ、人と会うのはただ楽しいよね。

生きるレジェンド

レコーディングを指揮するのにあたっては、巨大なキャパシティと生きるレジェンド Anders Eljas を迎え入れた。Eljasはたとえば、数十年に渡りABBAと仕事をしており、ミュージシャン、編曲者、そしてミュージカル”Chess”その他諸々の指揮者としても知られている。

彼はまたオーケストラの指揮や 1960-70年代におけるLill-Babs, Lasse Berghagen とSven-Bertil Taube の編曲もしている。

2014年のChessのトロムソ公演でArktiskフィルハーモニーが演奏したときも、指揮者はまさにこの Anders Eljas だった。

– 膨大なクルーたちと協働するのは大きな賭けだった。そこで私はすぐに全員がとても、とてもよく準備していたのがわかった。

– (アルバムに収録される曲に)二人の作曲家と二人の編曲者がいることは、アルバムに別の何かを与えている。異なる色やダイナミックさなど。それがよかった。私はそういったものが平均化したようなアルバムはあまり好きではない。ポールとマグネの異なる個性はレコードに異なる角度の切り口を与えていて(*2)、それによって曲が興味深く聴けるようにしている。
とArktiskフィルハーモニーのミュージシャンから非情に好かれているEljasは言っている。

彼はa-haが良いメロディに焦点を当てていることも、ちょっと『ノルウェーっぽくなくて』好きだという。

– スウェーデンでは作曲家はまず第一にメロディーを扱うが、ノルウェーではしばしば良い歌詞から入る。私たちはここで、自分の個性で曲を書きその曲がどう聞こえるかということに関心を持っているバンドといる。

– そして曲がとても良いんだ!

アルバムと映像の『True North』は2022年秋にリリースされる。


(*1) トロムソ県の最西端にある自治体、地域
(*2) 原文ではfasettという単語を使ってました。これは、ファセット・カットといって、wikiによると「基本的に透明石に施され、宝石の表面に角度の違う多数の切子面(ファセット)を持たせることによって、光を屈折させ、内部から輝いているように見せるカット方法である。」だそうです。a-haの曲にぴったりな表現ですね。
(追記)すげー奴だからさのところもっと合う言葉がないか考えた結果「読めない奴」(元の単語は賢いとかずる賢いとか精巧なとかっていう意味がある言葉なので)にしました。

モートン年取ったなー…でも、まあホント年齢が年齢ですし仕方ないですね。とはいえ、先日の11月の講演会記事の写真はそれほど年取ってないしなあ。相変わらず見た目年齢が上下する人です。それはともかく、モートンは自分も何かしら曲を書いているといっていましたが、今回のアルバムにはモートンの曲はないようですね。ということは、ソロアルバムが出る可能性も少なからずあるということになると思うので、個人的にはそれはそれで嬉しいです。思うんですが、MTV Unpluggedのレコーディングのときも第三者が入ることで3人が結託してたので、こういった第三者とのコラボは割と三人で凝り固まるより良いのかもしれませんね。3人で仲良く喫茶店にも行っていたみたいだし。まあ、余計なお世話ですけど。
ポールの両親が北ノルウェー(フィンマルク)出身で、モートンの両親が南ノルウェー(クリスチャンサン)出身。それがまさか子の世代でオスロで出会って数十年やることになるとは、人との出会いってわからないものだなと思いました。

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

コメントを残す