『Hjemkomst』に、『Ready to Go Home』とクリス・ニールがプロデューサとして名を連ねたときのことが書いてありましたので共有します。
クリス・ニールが携わったきっかけ
クリス・ニールはそれまで『East Of The Sun West Of The Moon』でa-haとかかわっており、リレハンメルオリンピックのパラリンピック曲として演奏された『Shapes That Go Together』にもかかわっていたことから、a-haの誰かひとりに肩入れして良い関係を崩したくないと最初は悩んだそうです。
しかし、まだ完成はしてないものの土台は出来上がっていた『Wild Seed』のデモを聞いて、その素材の良さに興味を持ったのと、「英語話者ではない人が詩を書くと、自分たちが使わない言葉だったり物の見方があって面白い」ということ、「ヨーロッパポップスの新時代」のものになると考え、これから良い作品になるという確信とともにOKしたとのことです。そういえば、a-haのファーストアルバムにある『Here I stand and Face The Rain』という構文も、英語では使わない構文だと聞いたことがあります。日本語だと「立ったまま新聞を読む」みたいな言い方はするので、不自然には感じないんですけど。実際、ノルウェー語を学んでみるとこの言い回しはとってもノルウェー語っぽく感じます。『Wild Seed』の曲のほとんどは、Håvard Rem氏の『Taksameteret går』という私撰集にある詩(ノルウェー語)を英語にしているので、余計かもしれません。
『Ready to Go Home』はa-haに紹介したものだった
クリス・ニールは、この本の中で自分が好きな曲は『Half in Love Half in Hate』だという話をしていますが、それとは別にということで、『Ready to Go Home』について話しています。この曲はもともと、1994年にa-haと仕事をしたときにa-haに紹介したものの、a-haではカバー曲はあまりやらないということでボツになったのだそうです。しかし、モートンは(ついでにその妻だったカミーラも)この曲が気に入り、『Wild Seed』の最後の曲に決まったとのことでした。ちなみに、この曲、原曲は10ccという人達だそうで、youtubeにもありました。
モートンのと比べてみましょう。
モートンの方が声が甘いかな…。どうでしょうか。
ちなみに、『Hjemkomst』で、著者のØrjan Nilssonから「『Wild Seed』は『Poetnes Evangelium』とは違って信仰から離れているように思うけど」と聞かれたモートンは、「『Lord』は自分にとって正しいもので、これは宗教の教えを説くものではなく、信仰への叫び。『Lay Me down Tonight』は眠りと死の両面を持っているし、『Ready to Go Home』は未知の存在に敬意を示すもので『Home』は神への道だ」と答えています。