『Morten Harket』で画像検索して、ユーリズミックスのアニー・レノックスと、モートンが並んで記者会見してる画像を発見したことがある人も結構いるのではないでしょうか。実はあの記者会見、ノーベル平和賞記念コンサートに関して開かれたもので、私自身、存在は知っていたんですが、何がきっかけでああいったことになったのか、調べていませんでした。『True North』が環境問題を扱っているアルバムとういこともあり、改めて、当時の記事を訳し、色々調べてみました。
元記事はこちら。NRK、2007年12月11日の記事です。
前提として、自分がこの記事を読むときに気になって調べたことを先に書いておきます。
- この年(2007年)の「ノーベル平和賞」は、アメリカの元副大統領、アル・ゴア氏と「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が受賞しました。アル・ゴア氏は、環境問題に関するドキュメント映画『不都合な真実』による活動が評価されて受賞しています。(参考:国土交通省『平成19年度 国土交通白書 第I部 進行する地球温暖化とわたしたちのくらし~地球温暖化対策に向けた国土交通行政の展開~ コラム IPCCのノーベル平和賞受賞と我が国の貢献』)
- 2008年にモートンは、ソロアルバム『Letter From Egypt』をリリースします。このコンサートは2007年12月11日ですが、モートンは未発表アルバム『Letter From Egypt』から『Movies』と表題作『Letter From Egypt』をこのコンサートで披露しています
– 40年間赤信号が点滅中
– 40年に渡って赤信号が点滅しています。私は、全員がここにいいることを神に感謝します。もし、私たちがここにいなかったら、プレスもここにいなかったでしょうし、誰も気に掛けることもなかったでしょう。アニー・レノックスは、今日のノーベル(賞関連の)会見でそう話した。
出典: NRK
しかし、最も注目を浴びたのは 、気候および今我々が直面している危機について、質問を受けたユマ・サーマンだった。i.
– 私にとって大切なのはリサイクルを学ぶということ、そうした小さいことから実施するということ。私はマンハッタンに住んでいるけれど、間違ったことをした場合、罰金を受けることになります。
我々の職業は、映画やショウを生み出すことだが、それらは我々が違いに扱っていることについて、フォーカスできる手段でもある。私たちは視聴者にそのことについて考えるきっかけとなるストーリーを継続的に作り出せるんだ。
ケヴィン・スペイシー
– この地球上にいる人は皆、共通する生存のための課題に対して、自分たちの生活をどう変えられるか、もっと学びたいと考えています。私はアル・ゴアとこのこと―電球から電気自動車にいたる全てについて―話し、環境問題にフォーカスをあてるためにも、ここにいることが重要なのだと同意しました。
と、ユマ・サーマンは言った。
おちゃらけスペイシー
ノーベル賞のショウがアメリカナイズされており、テーマでなく有名人ばかりがフォーカスされているという批判について、ケヴィン・スペイシーがおちゃらけて答えた。
– ごめん、ゴア!
スペイシーは続けた。
– 我々の職業は、映画やショウを生み出すことだが、それらはお互いが扱っていることについて、フォーカスできる手段でもある。私たちは、視聴者に対して、そのことについて考えるきっかけとなり得るストーリーを継続的に作り出せるんだ。
– だけど、これは我々の責任だ。参加することが重要だ。なぜなら多くの若者がショウを見て、アーティストを見聞きするだけでなく、自ら自分たちに何ができるか議論するようになるからだ。もしかしたら、彼等が両親に何かを教えることもできるかもしれない。
そう、スペイシーは言った。
– 僕はその批判については、コメントできないけど、ここにいられることは光栄だと言わなくてはいけない。 と、オスカー俳優は結んだ。
– アルが私に電話してきた
スペイシーは、数ある同僚の中でどのようにして、この司会の地位を手にしたか聞かれたときも、このお笑いショウを続行した。
– 私たちの同僚は、今、私たちを嫌ってるんじゃないかな
と、スペイシー。
ユマ・サーマンは、彼女の所属する業界において、この催しが重要であると考え、またそうなることを希望していると述べた。
メリッサ・エスリッジも、この場にいた。彼女はこの会見の司会者であるペール・スンデスにアル・ゴアの映画(管理人註:映画『不都合な真実』のこと)について彼女がどのように尽力したかを質問された。
– アルが電話をしてきて、彼のスライドショーを見に来ないかって言われたの。そのスライドショーをいずれ映画にするつもりだと。そして、彼は私にその(映画の)曲を作らないかと聞いてきたから、YESって答えたのよ。
-私は、私が変化を促せる何かに参加すべきだと感じた。それは誰もができること、今日ここにいるみんなができることよ。
エスレッジはプレスにそう伝えた。
-キング牧師を思う
レポーターや写真家を何度も爆笑させたスペイシーは、最終的には(声の)トーンを深刻なレベルに下げて、アーティストや有名人が、人が何かをするきっかけになることが需要だと話した。
– 世界中の人達が尽力すべきなんだ、ニューヨークでも、ロサンゼルスでも、シカゴでも、スペインでも、そしてここノルウェーでも、全ての場所で。と、彼は話した。
アリシア・キーズは、ノーベル賞はとても重要な賞だと主張した。
– とてつもなくグローバルな観点を持つという点において、とても重要なものです。私はマーティン・ルーサー・キングのことを考え、全てが可能であると理解しました。
– 自分達の中で最善を見つけるのが私たちの責任です。男性であろうと女性であろうと、世界中のどの・どこの場所にいる人でも、誰もが世界中に大きな影響を与える事ができるというのは、本当に信じられないことです。
– 人種とか、肌の色とかに関係なく。目標は同じです。
キーズはそういって、メディアや他の同席者から拍手を浴びた。
アリシア・キーズは昨晩、ホルベルクプラスにあるSASホテルのバーで小規模の前座コンサートを行った。
– 誰も気にかけなかったでしょう
記者会見における唯一のノルウェーのアーティストが、モートン・ハルケットだ。彼は、15年~20年前、どういったきっかけで環境(問題)を重要視するようになったのかを聞かれた。
-僕は、ずっと人生と自分の周りにおけるメカニズムについて好奇心を持っていたんだ。自分は誰で、僕たちはどうあるべきかということを見えるようになりたい。環境への取り組みは、分別を持つということに関わっている。僕たちは、何が起きているのか、そして全てがどう繋がっているのかということを、しっかり見なくてはいけない。と、ハルケットは答えた。
グリーンピースを長年支援してきたアニー・レノックスは、本日最後となる言葉で締めた。
– 私たちは、みんなでこの地球をシェアしています。あなたたちは、有名人が地球を救えるのかと聞くけれど、もう40年もの間、赤信号が点滅しているのです。全員が今日ここにいることを神に感謝します。もし、私たちがここにいなかったら、あなたたち(プレスや記者や等)もいかなったことでしょう。そして、(環境問題を)誰も気にかけることがなかったでしょう。
– 私たちは、みな、小さいことから行動しなくてはなりません。けれど、私はその開始が遅くなることが不安です。ですが、どうか私たちに私たちの出来る仕事を継続させてください。今こそ、大きな変化を起こすために、各国政府が一つになるべきときなのです。
今晩、オスロスペクトラムで開催されるコンサートのアーティストは以下の通り。ショウはNRK1で放映されます。
- Alicia Keys
- Annie Lennox
- Kylie Minogue
- Earth Wind & Fire
- Melissa Etheridge
- Morten Harket
- KT Tunstall
- Juanes
- Junoon
- Nick Davies
- Kringkastingsorkestret.
残念ながら、このNRKのアーカイブはされていませんが、いくつかyoutubeにアップされていたものを再生リストにしてみました。途中によく知っている、Ketil Bjerkestrandの名前がありますが、ファンファーレ担当のようですね。メインはトランペットのTine Thing Helsethのようです。(ニック・デイヴィスは指揮者)
モートンが2007年当時から、環境問題に対して一貫した姿勢を取っているのがわかる記事で改めて尊敬します。(正確には80年代後半からずっと、ですけどね。)なにより、この記事だけでも、モートンがノルウェーでは「環境問題といえばこの人」という一種のシンボルになっていることがわかります。
現在、ノーベル平和賞記念コンサートは、その「あるべき姿」を見直され、このような様々なアーティストが出演するコンサートではなくなってしまいました。記事でも、アメリカナイズされていると出ていましたね。この回は特に、モートン以外殆ど海外勢ですから(トランペットの人は別)、仮に環境問題やその映画に関わった人といった選考が中心だったとしても、そういった批判があるのもわからないではないですが。