『There is a place』について考える

https://tv.vg.no/video/79846/morten-harket-synger-fra-det-nye-albumet-eksklusivt-paa-vgtv

次に演奏するのは、新曲、『There is a place』。『There is a place』は、生きるに術に出会ったときにそれを認めることとか(この辺曖昧です、すみません)、自分の中の新しいものが新しい経験と結び付くこと、大きく燃え上がり残るもの、同様に、希望のない状態で、何も変えられないようなとき、僕たちが来たところ、僕たちのホームのように感じる輝くもの…を扱う。『There is a place』は、自分の生きるベースとなっていることへの信仰を扱う。自分が何に由来しているかというような。『There is a place』は、先を扱う、希望と言われるものを。『There is a place』はそんな曲だ。

一部上手く聞き取れないこともあって、余計わかりにくくなってる気がしますが… 残念ながらネットにこの言葉を扱っている記事がなかったので聞き取った範囲での私の解釈を書きます。

『There is a place』というのは、”居場所”だと思います。新しい経験をするとき、それまでの場所とは違う場所であっても、心の中にある確固とした”居場所”が、人を支えます。それは時には、信仰であったり、家族であったり、自分の由来であったりします。自分が何者であるかというのは人として、誰もがぶつかるテーマです。モートンは『Hjemkomst』の中でも、信仰というのは、人それぞれ形があり、無信仰もまた「何も信じない」という信仰であると言っていました。誰もが、自分は何者で、どんな天命を持っていて、どう生きていくか・どう死んでいくかということを考えるかと思いますが、そういったことを扱っているのではないでしょうか。

『There is a place』は、モートンとOlsenさん、Peter Kvintの3人が関わっていますが、私はこの歌詞にRem氏の影響を感じます。事実上、モートンにソングライティングを教えたのはRem氏ですし、二人には宗教上の共通した背景があるそうなので、似ていると思います。(Olsenさんは更にもっと強いキリスト教な気がする。まだ本はそこまで読んでないけど)

同じように、癒やし系の曲といえば『Lifelines』に入っている『Solace』という曲があります。これも良い曲で、私はすごく好きなのですが、『Solace』はマグネの曲ですが、彼らしく、どこか皮肉な部分が入っています。(そこも含めて好き)。これに対し、『There is a place』は、そうした部分がありません。ただ、美しくロマンチックな情景があるだけ。でも、その描かれた情景と美しい音楽に、聞いている側は、幸せと癒やしを感じます。

実は、この曲と全く同じ雰囲気を醸し出す詩が、 Håvard Rem 氏の詩にあります。 『Vi er der vi møttes 』という詩です。『僕たちが出会った場所』がどこかはわかりませんが、私はこの詩を読んだとき、心のよりどころだと思いました。同じ事を『There is a place』にも感じます。星の瞬きや夜明けの情景は、モートンがRemさんから学んだ要素なのだと思います。

それにしても、この曲は歌詞も最高です。歌詞のどの部分をとっても好きなんですが「We are different, we are one」の部分と「Put your darker thoughts aside, lay back in my arms tonight. Everything is right.」のところが特に好きです。

『We are different, we are one』のところは、一端、横において、この「暗い考えは脇において、今夜は僕の腕の中でおやすみ。なにもかも大丈夫だから」っていうのは、仕事で疲れてるときとか、今の状況みたいに世間の騒ぎに疲れてる時は、本当に何より効く言葉です。乙女ゲーか!と言いたくなるくらい、癒やしになる言葉。ここで『We are …』に戻ると、モートンは他の歌詞でも『You are with me wherever I go (僕がどこにいっても君は僕と一緒だ) 』(Darkspace/アルバム「Letter From Egypt」)と言っているので、それぞれが自立しながらも、根本で繋がっているということを信じる、信じられる人なのだと思います。だからこそ、聞いてる側も「なにもかも大丈夫だから」と言われることに安心感があるというか。それぞれが、それぞれの道を進みながらも、同じ目標を持っていたり、同じ愛情を持っていて、必ずこの先も繋がっていると信じられるということ、それが、”居場所”であり、その”居場所がある”ということこそ、”希望”なのだと、私はモートンの言葉たちから感じました。

VGTVが、日本のコンサートキャンセルの記事に、この動画を貼り付けた理由はわかりませんが、もしかしたら「希望」について語るモートンを、この難局に関連して見せてくれたのかもしれませんね。

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

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