『Brother』感想

モートンのアルバム『Brother』が届きましたので感想を。

私は常々、「モートンのアルバムはそれだけで一つの簡潔した物語だけど、同時に、ずっと続いてるシリーズの物語でもある」と思っています。
a-haのアルバムはどちらかというと、その一つ一つが独立した物語であるのに対して、モートンのソロおよび一部a-haのアルバムに入っているモートンの曲は、『モートン・ハルケット物語』という超ロングシリーズの第一巻のように感じるのです。

『Vogts villa』や『Wild Seed』では、色々と迷っている感じ。
『Letter from Egypt』では、新たな一歩を踏み出そうという決意。
そして、どこか身を切るような切なさのある別れを端々に感じたりもしました。
『Out of my hands』は、新たなスタートを歩き始めた感じ。

そして、この『Brother』は、今までの道のりを否定することなく、吹っ切れた感じがしました。
恋愛系の歌詞も、今までのような「(捕まえてないと)僕はいなくなっちゃうよ」的なこともなければ、どこか言い聞かせるように感じた歌詞でもなく、あるがままを受け止め、その場を楽しみ、でも刹那的でない。
迷いなく、地に足をつけてるカッコイイ大人の男性を感じました。
今までのアルバムが「抱きしめてあげたい」感じだったり、「一緒に頑張ろうね」っていう思いにさせてくれたのに対し、今度のアルバムは「ひっぱってってほしい」とすら思えます。
さすがモートン…。ブックレットに「全ての曲はPeter Kvintとモートン・ハルケットがプロデュースしている」と書いてあるのも、今作へのこだわりと自信ゆえな気がします。

曲調としては『There is a place』と『End of the line』が好きですが、歌詞では『Can’t answer this』が好きかな。『Whispering Heart』は歌詞も曲調も好きですね。全体的にどれとは決められないアルバムでもあります。

残念なのは『Did I leave you behind』が入らなかったこと。
最後の曲の代わりでもよかったとちょっと思いました。

投稿者: Tomoko

1985年7月4日、期末試験の直前で部活が休みだった日に、たまたまみたテレビ神奈川の「ミュートマ」で『Take On Me』を見てモートンに落ち、8月25日にアルバム発売というので誕生日プレゼントにしてもらって、モートンの声の多才さに感動。その後、タイトルを最後に言うタイプのラジオで「この声綺麗」だと思ったら「I've been losing you」で、これまたモートンだったことから、自分にとって最高の声だと確信。2010年の解散に伴い、翌年からノルウェー語を勉強しはじめ、現在はMCは聞き取れるようになりました。2022/05/20発売の『a-ha THE BOOK』で、モートンのソロについて書かせていただきました。

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